※ 本メールは株式会社システム・ケイからの情報提供にご了承いただいているお客様にお送りしております。
前々回はエッジコンピューティングの時代にAIを実行するための計算リソースをどこに配置するか、前回はオンプレ中心にどのように増加する映像データをマネージするかを記載しました。未読の方はこちら。
今回のテーマは、ネットワークカメラシステム構築における実装手段の最適な選択は、「クラウドなのかオンプレなのか」について見て行きたいと思います。
IPカメラシステム構築という前提での「クラウド活用」は、現地にはカメラとネットワーク、その他はクラウドという形態とします。ここで言う「クラウド」は、パブリッククラウドや個別サービスの総称とします。 最近はカメラも情報システム担当に管理が移りつつありますが、IT活用にクラウドは当たり前の時代となり、その流れにおいてIPカメラシステムについても、まずクラウドから考え始めるというケースも増えてきた感があります。
先に言ってしまうと「クラウドなのかオンプレなのか」の解は、ケースバイケースです。映像を使用する目的や場所、使用する人数、期間、他システムとの連携有無、サービスレベルなどの観点と、契約形態やコスト計上方法という経営的な側面も合わせて検討し、総合的に判断する事となります。 検討事項は分かったが、結局どうすれば・・・の声が今にも聞こえてきそうです。ここでは、代表的な要素別に、クラウドorオンプレの選択を決定づけるファクターには、どのようなものがあるかを整理したいと思います。
代表的な検討事項 |
クラウドが適するケース |
オンプレが適するケース |
システム利用人数 |
・利用者が多く、様々なロケーションで使用 ・映像の二次活用などを目的とした開発者も大人数になる |
・カメラシステムの管理者は少人数 ・ライセンスの考慮などもあり、費用をなるべく安く抑えたい |
システム利用期間 |
・短期間の検証に限定している ・期間や季節毎に利用するリソースの量が変動する可能性がある |
・3年、5年などの単位で、一定期間、一定量を利用する事が決まっている |
他システムとの連携 |
・映像から取得したデータをAPI経由で多くの他システムと連携する ・大規模な開発体制を取っていく可能性がある |
・映像からの検知、通知、データ連携など、数種類の連携機能を活用 ・社内システムとの連携に限定 |
カメラ設置場所 |
・現地にカメラ以外の必要物設置スペースが無い、工事が困難 |
・カメラ、録画機器など全て社内ネットワーク内に限定して管理したい |
スケーラビリティ |
・映像処理のためのCPU増強や機能の追加が必要となる可能性あり ・データ保管のための容量が急激に必要となる可能性あり |
・特に必要は無いが、万が一に備えて最低限ディスク増設などを現地にて可能としておきたい |
サービスレベル |
・事業者との間でサービスレベルを設定したい ・クラウド事業者都合による停止リスクは許容可能 |
・用途に応じて選択する(ベストエフォートでの稼働から、自社都合でのメンテナンス以外に停止は許容されないケースまで様々) |
運用 |
・現地でのカメラ設置以外は、すべてアウトソースしたい |
・費用面や機密性などを考慮し、自社で運用したい |
契約形態・会計 |
・月単位・年単位での更新を基本としたい ・会計上は費用として計上したい |
・構築時と保守の契約、いわゆる通常のケースで考えたい ・資産として計上 |
表1 カメラシステムでのクラウド・オンプレの適合ケース例
それぞれの検討事項において、実装手段を選択する際に決め手となる可能性があるものを表にて列挙しました。世の中のすべてを網羅している訳ではないので、あくまでも一般論という前提にはなりますが、今後構築しようとしているネットワークカメラシステムの形態が、クラウドとオンプレのどちらに適しているのかを考える際の目安となるかと思います。
活用例として実際の検討アプローチを見て行きます。まずは、様々な検討事項がある中で何を優先するかを設定する事から始めます。「多少費用は高くなるが、運用は可能な限り外に出したい」という意見が最優先であれば、「運用」的にどちらの選択が望ましいのかを見ていきます。はたまた、社内限定で、限られた予算で目的を達成することが最優先であれば、利用者や利用期間を見た場合にどうか、という具合です。優先するべき事項を明確にし、その検討項目を考慮した場合にどのケースが適しているか、という選択の根拠を持つことが大切です。
しかしながら、毎回正攻法が通じるとは限りません。相反する検討事項がそれぞれ高い優先度となるケースは少なくなく、むしろその様な話の方が多いのではと、お客様と会話していると感じます。「設置場所はカメラしか置けないがとにかく安く済ませたい」、「データは社内にしか置けないが撮影した映像を高度なAI画像認識と連動して活用して行きたい」などというものです。
今回ご紹介したクラウド or オンプレ検討の入口の、その次のステップとしては、例に上げた様なクラウド的要件とオンプレ的要件のミックスパターン、クラウド・オンプレパターンそれぞれ高度な方向へ行くか、サービスを限定したシンプルな方向へ行くか、という観点も加え、どのように検討していくかを見て行く事となります。こちらについては、次回のメール配信でご紹介したいと思います。 システム・ケイでは、上述の様な要望にお応えするサービスも展開しておりますので、先にご紹介しておきます。
「設置場所はカメラしか置けないがとにかく安く済ませたい」SKクラウドカメラ
「データは社内にしか置けないが撮影した映像を高度なAI画像認識と連動して活用して行きたい」 SK VMS搭載 NVR-Pro
|