次世代センサーシステム研究「センシングWebプロジェクト」に、Axisネットワークカメラが貢献

画像認識・処理技術が開く、新たな世界。防犯カメラ、人感センサーなどの情報を、誰もが利用することができ、映されても安心な社会を志向

ネットワークカメラ AXIS(アクシス)の導入事例 京都大学(センシングWebプロジェクト)

団体名:センシングWebプロジェクト(研究代表:京都大学)

所在地:京都市左京区

業種:大学

アプリケーション:研究開発

課題

プライバシーに配慮したセンサー情報の活用

近年、防犯カメラや各種のセンサーがさまざまな場所に設置され、それらの機器から得られる情報が、いろいろな形で利用されるようになってきました。たとえば、カメラからの映像をインターネット経由で見ることにより、混雑状況などを離れた場所から知ることができるというように、単なる防犯にとどまらない活用方法が考えられます。
一方で、カメラからのそのままの映像では、人の顔や姿が見えてしまうため、被写体となる個人のプライバシーへの配慮をどうするのかという問題があります。このため、カメラの設置者である施設運営会社やビル管理会社などに、防犯カメラなどのセンサー情報の利用が限られてしまうという側面がありました。
このような現状を踏まえ、カメラをはじめとするさまざまなセンサーからの情報を、より多面的に活用するため、「センシングWebプロジェクト」が立ち上がりました。このプロジェクトは、センサーデータからリアルタイムでプライバシーに関する情報を除去した上で出力することにより、プライバシーの問題の起こらないセンサーデータの公開・利用を実現することをテーマにしています。
このプロジェクトは、2006年4月~2010年3月まで、文部科学省の支援を受け、京都大学、和歌山大学、大阪大学、筑波大学、九州大学、豊橋技術科学大学、名古屋大学、京都産業大学が参画し、3年間にわたって実施されている大規模な研究プロジェクトです。

取り組み①

画像認識・処理技術によるセンサーデータのプライバシー保護処理

さまざまなセンサーの中でも、カメラの映像データは、人物 の姿の情報を含んでいることがあるため、最もプライバシー の問題が生じやすくなります。センシングWebプロジェクトで は、カメラ映像に関するプライバシー除去技術が、重要な研 究トピックになりました。
映像中に含まれる人物の姿などのプライバシー情報は、画 像認識・処理技術を駆使し、映像データを人の存在の有無や 人数といったシンボルデータや数値データに変換して出力 します。この手法により、人の姿をアイコンや数値に視覚化す る技術が「変身カメラ」です。
変身カメラでは、取り込んだ映像を解析し、背景画像を生成 した上で、映っている人物をアイコンに置き換えて生成され た背景画像に配置します。変身カメラは、人の数や位置を把 握することができ、かつ、人の実際の姿は見えないため、プラ イバシーを守る映像を得ることができます。
カメラだけではなく、音声を取得するマイクや、人の持ってい る携帯電話やICカードなども、多数利用されています。これ らのセンサーやタグについても、プライバシー保護処理を施 し、すべての種類のセンサーを「安心センサー」に変えることが、プロジェクトの究極の目標です。

取り組み②

センサーデータの公開・有効活用のための記述・ 流通形式の策定

すべてのセンサーを「安心センサー」に変えてしまうことにより、 そのセンサーデータを誰でも閲覧・利用することができるようになります。しかし、そのセンサーの種類や仕様ごとにセンサーデータの形式がバラバラだと、利用者は閲覧・利用しにくくなります。そこで、このプロジェクトでは、ソフトウェアデザインやネットワーク技術の観点から、「安心センサー」のデータ記述・流通形式についても検討し、技術開発を行っています。

取り組み③

センサーデータを利用したさまざまなアプリケー ションの提案

世の中のセンサーを「安心センサー」に作り替えても、そ のデータを閲覧・利用するメリットがなければ意味がありません。このプロジェクトでは、このメリットを理解してもらえるように、さまざまな大学・研究機関がアプリケーションを提案・実装しています。平面図上で各エリアの混雑状況を表示する「にぎわいマップ」、建物を3次元CGで再現 し、その中で人物の位置や動きを立体的に表示する「ディジタルジオラマ」、障害物の陰の映像を、別のカメラからの映像で補完表示する「シースルービジョン」などは、アプリケーションの例です。
このプロジェクトで開発した「カメラなどの各種センサーを用いて、プライバシーを保護しつつ、実世界情報を得る技術」と、この技術によって実現される新たなセンサーネットワークを「あいあいネット」と総称し、研究活動と社会実験を推進しています。

お客様の声

"「Axisネットワークカメラは、きめ細かい設定ができ、APIが公開されているため、プログラム開発が容易でした。Axis製品は、他社製品との互換性も高く、研究開発者にとって好適な選択でした」"
(京都大学 満上育久研究員)

商業施設における実証実験とプロジェクトの将来

プロジェクト最終年度の2009年から、京都市内の商業施 設のご協力により、施設内に大規模なセンサーネットワー クシステム「あいあいネット」を構築し、約6ヵ月間にわた る実証実験を行いました。システム内には、AXIS 211が20 台、AXIS 243SAが14台設置されています。一般の方に「あ いあいネット」を体験してもらい、アンケートでたくさんの 方々からご意見・ご感想を収集しました。
今後は、アンケート結果の解析を行うとともに、法律関係 者の法的見解なども考慮して、技術面だけではなく、実施 面の要求事項を盛り込み、実用化に向けた基盤になる研 究成果として取りまとめていく予定です。
「今回の実証実験では、1年間程度の時間をかけて映像 分析を行っています。実用段階では、カメラに内蔵された チップによって、リアルタイムで分析を行うことが可能で す。情報社会は、油断すると監視社会になってしまうので、 社会基盤として健全に利用できるセンサーを目指して研 究を進めていきたいと考えています」 (京都大学 美濃導 彦教授)

この事例は、アクシスコミュニケーションズ株式会社が制作したものです